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●2006年新春
  ここの「勝利の記録」を読み続けてる方なら、お気づきかと…思いますが、新年早々…というのは、人の気持ちが変わるのか…はたまた、「よし!やるぞ!」と気合いが入るのか…当社への引き合いが多々あります。この候補者陣営もそうでした。2006年の新年松の内が過ぎたあたりでした。
  都心から離れた、ある田舎街のフィクサー的存在の有力者から、突然電話が入りました。いつもですが…ボクへの電話はホント、突然です(苦笑)。まあ…あたりまえといえば…そうですね、仕事の発注というのは…突然なものですね。
  『アア…ヤマぐったん…久しぶり!またちょっとね、お願いしたいことが出来たんで…一度、足を運んでくれるかなー?』『いいですよ!選挙ですか?』『ウン!そう…ウチの街の市長選挙!』『選挙はいつですか?』『アア、2ヶ月後の3月12日が投票日!』『へえ…あまり時間ないですねー!どんな人ですか?』『いやまあー、現職市長や!今度で二期目の。誰も、立候補はしないと思ってて…のんびり構えてたら、なんか、一人、二人と立候補の噂が出てきたんで…こら、ちょっと、えらいことじゃ!ココはプロにお願いして、わーーっとやって貰わんと…あかんなあーーとなってな…ほんで、あんたに頼みたいねん!!出来るだけ、早う来てえなー!!頼むわ!!』『わかりました、数日中に伺います!』
  このフィクサーはこの街だけでなく、県内の各地でも一目置かれている、実力者で、眼力鋭く、威圧感のあるタイプです。廻りの側近もいつもピリピリして側に仕えています。四年前に初当選した、この現職市長を擁立したのもこのフィクサー。かといって、市政を「牛耳る」ということはしてないようで…ただ、単に「自分の実力を、自分自身に見せつけて、プライドを擽る」という感じの「自己愛、自己満足型」のタイプのように思います。まあ…この県政界では名前の売れた人ではありました。
  この田舎街までは、車を飛ばせば、神戸からは、大体2時間弱ほどで着きます。幸い、ずっと高速道路が整備されてるエリアなのです。そして数日後、そのフィクサーの経営する会社の会長室に伺いました。

●目にモノを見せてや!
  『アア・・ヤマぐったん!すまんなあー遠いとこを!とにかく、なあ、選挙は無いやろなあ…と思ってたんや!ホナ、●●あたりが立候補するちゅうて、挨拶回りをしだしたもんやから…こら、選挙の準備をせなあかんわ!と慌ててんねん!とにかく、今から、最低限必要なモノや、やるべきことやらを…全部やってえな!任せるわ!先ず、何からやらなあかん?』
  『写真やね!ボクの専属カメラマンをここまで来てもらいますから、近いうち、市長の体が半日ほど空けれる日を作ってください!イメージ戦略の、キャッチフレーズや、名前のロゴ他、必要なモノは、今日から一気に作ります!ほんで、すべて必要な、印刷物や、看板類など、すぐに作ります!お任せを!!』『オウ!頼むわ!とにかくなあ…圧倒的な運動量を見せつけて、その対立候補が、敵わんわーーーちゅうて立候補を諦めるくらいの勢いで進めたいねん!!とにかく、プロの仕事を見せつけて!!目にモノを見せつけてやりたいねん!!その●●等に!!どや!頼むでー!!』
  告示日まで、ほぼ40日ほど。制作スタジオに帰って、頭はフル回転!キャッチコピーや、ロゴ制作等に没頭しました。まあ…こんな田舎街には、もったいないような、先進的なオシャレなデザインが出来上がりました。こんな小さな市長選挙よりも、どこかの知事選挙で使いたいようなソレでした(苦笑)そして、それらのロゴ等を元に、各種印刷物、看板等の制作物をドンドン作っていきました。普通の「デザイン仕事」なら、イロイロなデザイン等を作成し…それらをクライアントに見せ…彼等に選ばせたり、また、彼等の希望を聞いたり…その意見を取り入れたり…・でしょう。しかし、ボクの「仕事」は違います。「選挙」という特殊な「世界」のソレは、たとえば、言葉ヒトツ…それが選挙違反になる場合もあり…また、候補者のイメージ戦略構築と同時進行の「媒体」となる、印刷物、制作物なので、ボクが考える「戦略」が最も大事な要素を占めるため、ボクがドンドン、彼等の意見を聞き入れることなく…推し進めます。だから、出来上がりが圧倒的に速いのです。まあ一種の「独裁」です(笑)

●完璧な選挙態勢…
  この陣営の良いところは、地元のフィクサーがついていることです。合法的な選挙資金も、ある意味「潤沢」です。また、陣営そのものも、このフィクサーの「独裁」ですから、「合議」というものが無いので、すべての決断は即です。また、候補者の現職市長も、「まな板の鯉」で一切、口を挟みません。こういう陣営はホントやりやすいのです。
  あっという間に、すべての印刷物と連動したロゴマークやキャッチコピーが入った選挙事務所(告示までは後援会事務所)が地元の一等地に完成しました。また、この「後援会事務所開きの案内」にかこつけた、同様のロゴマーク、キャッチコピーが散らばった全市全戸配布ビラも配布されました。まあ…こんな感じで圧倒的な態勢が構築されていきました。その事務所開きに大勢の人が集まったのは言うまでもありません。
  しかし、その対立候補●●は、まだ動いていました。まあ…あたりまえと言えばアタリマエ。自らのそういう意志は強くあるべきです(苦笑)

●これも戦略…
  ボクは、こういう陣営でも、現地に顔を出すのは、大体、最初のウチ数回程度です。実質運動がスタートしてからは、もう殆ど顔を出しません。彼等が聞きたいことがあれば、電話やメールが来て、それに回答を出すだけです。
  そして告示日まで、あと一週間という頃に、フィクサーから電話がありました。『ヤマぐったん!ちっと、相談があるので…足運んでくれんかー!』フィクサーのお好みの地元のうどん屋さんで、ランチをしながらの話です。
  『実はなあ…この時点でなあ、●●がまだ、立候補を諦めんのや!負けるのはわかってんのにやなあ…困ったヤツや!!このままやったら、選挙突入やな…ただな、オレの「諜報員」が●●の廻りを調べたら…△△がでてきたんじゃ!どうしたもんやろ?コレは、●●に△△は、候補者にとっては「不適」となる「失点」じゃわなあ…なんか、エエ案は無いかとおもてな…あんたなら…エエ案が浮かぶんじゃ無いかと思ってな???』なるほど…ボクが聞いても、コヤツは候補者不適じゃな…という内容の話でした。ボクは数秒、頭をフル回転させました。
  『会長!こうしましょ!会長が、親しくしてる□□□□はいるでしょ?』『オウ!おるでー!よく呑みに連れていったりしてる!』『その□□□□に、その●●ところへ、会いに行かせて…△△について、ちょっと話が聞きたい…と言わせてください!そう言わせるだけで…もし、その△△の話が事実なら、そのことだけで、そら●●はビビって…選挙にでるどころや無い…と慌てますわ。どうです?』『ほんまやな!!わかった!やってみるわ!!』
  ボクが、よくレクチュアで言う『選挙はIQゲーム!殺し合いの無い戦争!』というのは…このあたりの「非情」さを言うのです。

●そして、告示の日
  告示の日が来ました。我が陣営は、準備万端、すべて順調。完璧な態勢です。夕方5時までに、他の立候補者が出なければ、無投票当選となりますが…●●をはじめとして…他の「泡沫候補」が何を間違えてか、出てくるかもしれません。よくあることです。
  そして…5時が来ました。「万歳!!」です。無投票当選が決まったのです。●●も出ませんでした。
  こういう選挙もある…ということです。

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