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●2003年歳末
   『ヤマちゃん!ボクや!いまエエかー?』長年聞き慣れたその声の主は、ボクが石井はじめさんの秘書時代の後輩。彼も15年近く勤務した代議士秘書を辞めて観光事業の会社を経営する社長をしていた。『あんなー、ボクの知り合いの紹介なんやけど、ある田舎町の若い漁師なんやけど、そこの町会議員の選挙に出たいねんて…どやろ?そんな小さい選挙はアカンかー?(苦笑)』『どんなやつや?』『いや、ボクはそいつとは会ったことないから、ようワカランけど、まだ25歳らしいで!地元の漁業組合の青年部らしいわ。その紹介者がな、N市で割烹やってはって、そこに魚を卸してるらしいで…そんで、ボクがその割烹やってる人と知り合いやねん!深い付き合いじゃないねんけどな』『まあ…ほな、御影のにしむら珈琲に一回呼べや!会うだけ会って見るわ!』
  数日後、あと一日で大晦日という時、彼が来ました。彼と、彼の先輩でその漁業組合の青年部長が一緒でした。一瞬、二人を見た時、目を疑いました。二人とも、頭は流行の「金髪」、首にはキラキラの「金のネックレス」真冬というのに…Tシャツだけのようなファッション(苦笑)「アチャー!!(笑)」でした。
  こいつが出た方が格好いいのにというのが「先輩」。ちょっと肥満体の、まさに「漁師」という、眉の濃い、オトコの臭いムンムンの25歳の男が「出たい!」というヤツでした。話を聞くと、「出たい!」ではなく「かつがれた!」でした。青年部としては部長が出るのが「筋」で、皆、その部長がイイやん!だったそうなのですが…部長が固辞し、なら、「コイツや!」となったそうでした。「コイツ」は、まさに「人の好い男」の典型的なタイプのようで…「ホナ!俺が出るわ!漁業組合の改革のためや!」とその役を引き受けたようなのでした。
  その町の議会に、漁業組合の長老格の人やらが数人、町会議員として頑張ってはるらしいのですが、なんせ、若い青年部の意見を全然取り入れず、勝手な運営ばかりする…ということで、ガスが相当溜まっているようでした。
  『オマエさんなあー、選挙出るなら、その金髪なんとかせなあかんわ!そらいくら中身はエエ男でも、なかなかそれは通用せんでー!田舎やし!』『わかってます!もし、先生が引き受けてくれるなら、なんでも言うこと聞きます!皆、選挙なんてはじめてのモンばかりやから!』『オイ!金輪際、先生は止めろ!キモチワルイ!エエな!!』
  『ほんで、25歳は選挙出るギリギリやけど?誕生日はいつや?』のような質問を彼にマシンガントークしました。後、数日の、年明けで26歳になる…とか、学歴は高校まで、そのあとすぐ漁師は継がずに、吉本新喜劇のNSCお笑い芸人養成所に入所したとか…(ボクが見たとこ、全然、お笑いも人前に立つのも苦手のようなタイプなのに…)そして、自分でもお笑いに向いてないと判ったのか(苦笑)数年前に故郷に帰り、親と一緒に漁師をしてる…とのことだった。

●平均歴代投票率90%以上!浮動票が無い!
  選挙は、3月中旬に投票日。定数は12名(少なーーーい)。有権者数は僅か、約5700人。当選者の平均得票数は、約390票ほど。500票も獲れば、恐らくトップ当選。最下位当選は、恐らく200票超くらいとのことでした。前回の投票率は90%をゆうに超えてたとのこと。『とにかく、ヤマグチさん、たぶん浮動票みたいなんは、無いと思います!皆、親戚や、友達や、家族の繋がりやで、票を集めてます!まあ、300票獲れば当選圏内ですから!とにかく、そういう人の繋がりが編み目のように張りめぐらされて…世帯数にしたら、僅か2000戸ほどの家しかないんですから…』なるほど、一般の人が考えたら、恐らく100%近い人が「ごもっとも!その通りやろなー!」と思うことでしょう。ボクは違います。ボクは選挙のプロというだけでなく、「ボク独特の、独自の、人間心理学の権威(笑)」です。そういうことを「我流」で、実践経験を通じて研究してるから、いろんな「戦略」「戦術」が編み出せるのです。
  ボクは彼等に言いました。『あんなー、そう普通は思うやろ?ボクの見方は違うねん!あんな、そういう風に、縁戚や、義理や人情で投票する…という中にもな、「嫌々の人達」もおるねん!「誰に入れても同じやから、あんたの言う人入れるわ!」の人たちも多々おるねん!ボクに言わせれば、そういう人たちは浮動票に近い浮動票やねん!つまりな、300票以上獲ってる人がこれまで10人いるとするやろ?その人たちから、そういう意味での浮動票が、それぞれ30人ずつ、つまり一割の人が離れて、オマエさんに「浮気」するだけで、オマエさん、300票になるんやで!ほな当選やろがー(笑)!そんなことがあり得ないとは、誰も言われへんでー、ボクはそれを狙うで!これまでと同じように漁業組合の現職爺さん達も出るんやろ?オマエさん等、これまでそいつらに
  投票してたやろ?それがれやんかー(笑)まあー、やったるから、黙って、ボクの言うとおりにしいや!当選の保証は無いけど…こんな選挙は、見たことないなあ…とオマエさん等の漁師町がビックリする選挙をやったるわ!』

●漁師町へ行く楽しみ!
  投票日まで約2ヶ月。すべての準備が整い、最初のイメージ戦略ビラが新聞に折り込まれました。たった2000枚ほどです(苦笑)さすがのボクもチト不安もあります。そんな啖呵を切ったものの、ボクが作る、ビラなんて、こんな漁師町では「初体験」。「拒否反応」があるかもしれません。まさに、「完全ど田舎の漁師町の選挙」です。なんせボクも初体験(苦笑)しかもたった、たった300票獲れば「当選」なんてのも「初体験」。一票の重みを、ある意味で強く感じます。候補者曰わく、漁協青年部とウチの縁戚や知人の票をトータルすれば、150票〜200票くらいは基礎票であると思います…とは言ってたが…それだけでは足りません。
  まあ、だけど、どんなところでも、ボクはボクのやり方を貫くが信条ですから、ボクのペースで彼等を動かし、ビラ作戦も展開しました。淡々とです。ただ、この選挙区へは、普通より多く足を運びました。車を飛ばして行きました。旨い旨い、しかも安い「寿司屋」が何軒かあったのです。有名店もありました。有名店は神戸や大阪からの客のほうが多い位でした。
  この仕事、そういう楽しみも時々あります。クライアントによっては(笑)ビラの反応は思った通りでした。「こんなビラがココで入ったのは、初めてやな!」と、町で会う人、会う人に言われ…「頑張りやーーー!!」とよく、声をかけられます!と候補者から嬉しい報告が入りました。『ヨシ!!ヨシ!!』とボクはほくそ笑みます。(いけるかもやなー!と)

●ウワッ!こりゃ凄い!!!
  候補者は、NSC出身にしては、人前で話すのが苦手でした(苦笑)。
  演説は典型的な「シドロモドロ」。でも、「熱」は感じる「誠意」は伝わるそれでした。彼との出会いから、3ヶ月ほどでしたが、何度も会うたびに、彼の「赤誠」とも言うべき、「男の中のオトコ!」的な「心優しさ」や「誠実さ」が判ってきました。彼とは、いまでも同じようにお付き合いを続けていますが…当時と何ら変わらぬ「赤誠」のままの男で、ボクのこれまで知り合った男の中でもトップランクの「いい男」です。まあ、なかなか、このレベルの男とは出会いません。
  そして、気になる「審判」の日が来ました。定数12名で立候補者はたったの13人。一人でなければ「無投票」だったのに…です。こんな選挙も初めての経験です。流石のボクも。結果は、「ウワッ!!コリャ凄い!!!」と驚愕のそれでした。我が候補が、なんとなんと641票も獲得!ブッチギリのトップ当選!2位の人が494票で、最下位が190票で二人並び、くじ引きで決めるという落ちもついての選挙。2位以下を大きく引き離しての大勝利でした。
  流石のボクも、彼にも惚れましたが、ボク自身にも惚れました!(笑)
 


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